全理連『第193通常総会・評議員』開く

 全国理容生活衛生同業組合連合会(大森利夫理事長)は、529日、東京・代々木の全理連ビルで第193回通常総会・評議員会を開催した。

 評議員会で冒頭大森理事長は「高騰するコメ問題や米国トランプ大統領の関税問題などに振り回されている。業界もアメリカファーストにあやかるわけではないが、理容ファーストで行くべきと考える。この1年儲かる業づくりはじめ、多くの事業を行なってきた。結果が出るものばかりではないが、継続して進めることが大事」とあいさつ。この後来賓あいさつに続き阿部忠議長、中原一郎副議長が登壇し、評議員定数が定足数に達している旨が報告され直ちに議案審議となった。

 議案第1号・令和6年度事業報告承認の件について「日本経済は回復基調を維持し、63月にはマイナス金利を解除、日経平均株価は史上最高値を更新、地価上昇率や春闘賃上げ率は、バブル期以来の伸びを記録するなど、インフレ経済への回帰傾向がみられた。一方で円安の影響や物価高騰、人手不足、海外情勢など景気減速の要因も多くあり、政府は賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実なものとするため、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服及び国民の安心・安全の確保を三つの柱とすると持続的な成長に向けた総合経済対策を策定した。

 理容業においても安定成長には物価や人件費の上昇を転嫁した適正価格でのサービス提供、それに伴う賃上げも重要であり、全国理容連合会では国の補助金等を活用して以下の事業を行なった。

1.「儲かる業づくり(令和6年度生活衛生関係営業対策事業)として適正価格でのサービス提供、生産性向上に伴う衛生水準の確保、賃上げ・雇用維持に向けて、ヘアサロンの売れるメニューづくりセミナーを実施した。2.「デジ活!儲かる塾」(6年度生活衛生関係営業対策事業)「ヘアなび」を活用した情報発信体制づくりに向けた実践的セミナーを各組合で開催した。

 事業推進にあたっては、(昨年)5月に行なわれた役員改選に伴い、デジタル推進部門を新設。理容総研には、「儲かる業づくり推進委員会」を新設し、専門の部門委員会を設けることで積極的推進を図った。

 理容師法関係では、理容師及び美容師のあり方など必要な事項について総合的に検討する厚生科学審議会・生活衛生適正化分科会・理容師・美容師専門委員会が新設され、これまで厚生労働省局長の私設検討会として都度検討されてきた理容師美容師制度について公設的会議体が設けられることとなった。6年度は主に養成施設における必修科目及び選択科目のあり方について検討され「国家戦略特区において取り組む規制・制度改革事項等について」を踏まえ、当面の方針が取りまとめられる。

 海外交流関係では、10月に行なわれたパリ世界大会への選手派遣ほか、台湾カップへの参加、韓国でのセミナー・ヘアショーを実施、7月訪韓時には大森理事長が現地大使館を訪れ、文化交流推進への協力を求め、10月には愛媛県でのヘアワールドジャパンカップ2024にアジア各国から多くの選手・関係者が集まり盛大に開催された。前日のウエルカムパーティでは、荘司礼子国際文化学園理事長校長による伝統の十二単の着付けが披露されるなど国際交流を大いに深めた等、6年度の事業について大森理事長が提案理由を説明した。

 続いて「連合会業務のうち、定款及び定款施行規約に基づく総会理事会その他会議、ならびに各事業とも適切に行なわれていることを認める」と藤田幹雄、小野瀬文隆、庄司一生の三監事より業務監査報告があり、この後の質疑応答に続き採決となり満場一致で議案第一号は可決承認された。

 議案第2号・令和6年度決算報告および剰余金処分案承認の件は、山本賢司常務理事・財政委員長から会計別収支決算書から一般会計決算書、事業会計決算書、剰余金処分案を説明し、その後会計監査報告に続いて議案第2号が審議され満場一致で可決承認された。なお、令和6年度の収入合計は、1,044,638,982円、支出合計は1,076,661,400円となり、税引前当期損失は32,022,418円となった。

 議案第3号の監事選任の件は、東北協議会・高橋朋幸氏(福島県組合副理事長)、中国協議会・熱田幹夫氏(島根県組合副理事長)、九州協議会・清武裕治(宮崎県組合副理事長)が選任された。

 また、令和7年度からの新規事業としては、日本の理容の技(レディスシェーブ、メンズカット、シャンプー技術)の無形文化遺産登録に向けての検討)、心配されている大地震に対するオンラインによるネットワークづくりの推進、新興メディア(SNS等)を活用した積極的PR事業の取組み、理容サロンのスタッフ雇用に伴う社会保障制度確立に向けての検討、環境省との脱炭素(デコ活)への取組みが等が発表され評議員会は終了。この後第193回通常総会に移り、三議案が一括上程審議され異議なく承認可決され総会を終了した。