株式会社レボルは2022年11月1日、埼玉・川口市にある本社ビル3階に、サロンの学び場の新業態『Revol Hair Academy(レボル ヘア アカデミー)』をオープンした。
1991年に創設され、レボル創業時から〝サロン発展のためには美容師の技術力UPが必須条件〟と考え、自社で人頭モデルを集め、「トレーニングセンター」を運営してきたという同社。約31年の実績を経て『Revol Hair Academy』としてグランドオープンとなったが、それを記念して同日にオープニングイベントも開催された。
なお、なぜ今、新業態として挑戦するのか、教育に対する想いや未来像なども含めて平井社長にインタビューを実施。弊誌『ribiyo.2023年1月号』にて紹介する。
スタッフ育成に悩む中小美容室がいつでも使えるリアル&オンライン研修施設『Revol Hair Academy』のビジョンなど詳細はホームページで。
オープニングイベントでは、3つのプログラムを実施。1つめは『遠隔(リモート)』での講習。今回は同フロアであるが、実際にライブ配信して受講者がどのように練習していくかのデモンストレーションが行なわれた。
2つめは美容業界初であり今回注目の取り組み、マイクロソフト社製の『HoloLens2』を使用した研修のデモンストレーションで、来場者にも同デバイスを体感してもらう時間が設けられた。
最後の3つめは、鏡をディスプレイとしてタブレット操作ができるスマートミラー『ミラーロイド』のデモンストレーション。お客さまへの提案方法などが紹介された。
冒頭、平井社長がHoloLens2を装着して登壇。各位に謝辞を述べると、今回の経緯について「創業来、美容師のトレーニングセンターを31年取り組み続けているが、コロナ禍で外部の方に来ていただくことが非常に難しく、2020年は研修生が9割減となった。運営自体が困難となったが、美容師の教育というのは当社の使命でもある。そこでオンラインを活用し、また最新ツールを使った研修がどのようにできるかを模索し今回、〝レボル ヘア アカデミー〟としてリニューアルした運びとなる」と話す。
また以前より『美容師の離職をゼロにしたい』という夢があり、そのためにも教育が不可欠だとも続ける。
同社のお客さま(取引先サロン)アンケートによるとコロナ禍以降、中小サロンの8割は定期的な練習会を実施していなく、実施している2割のサロンでも1ヵ月の平均練習時間は8時間未満となっていることが多いという。
現在では面貸しやリーズナブルサロンなど多様に美容室が増えており、客数を軸にした経営は困難。そうした中で売上げを作るためには、単価を上げなければならない。しかし練習不足のまま取り組めば、失客につながってしまう。すると売上げは下がり、スタッフの給料も下がる。結果、仕事が楽しくなくなり、条件も悪いのだから離職を選択するといったといった循環になっているのではないかというのだ。
もちろんサロン経営者は、教育の重要性を理解していることだろう。しかし、とくに中小サロンでは環境やツールを整えることが難しく、実施できない状況にあるのではないかとも考えられる。したがって「直営の美容室を運営している当社がOJT(オンザジョブトレーニング)や、社外研修である実践型の研修センター、またオンラインでのアカデミー・セミナーを通じて、〝学びの場〟を用意できればと思っている」と述べ、デモンストレーションに移った。
①遠隔で行なう講習
同社が導入している10分1000円のメニュー、オゾントリートメントでデモンストレーションが行なわれた。
講師は額にカメラを装着。加えて2台の定点カメラもつなげ、撮影した映像をリアルタイムで配信。3視点+技術プロセスを記したテキストをモニターに移し、生徒はそれを見ながら実技練習することになる。生徒役のスタッフからは「いろいろな角度から見ることができたので、とてもわかりやすいと思った」といった声が挙がっていた。
また音声もつながっているため、疑問点があれば随時質問しながら進めることができるとのこと。
②マイクロソフト『HoloLens(ホロレンズ)』を使用した技術講習
続いて注目のHoloLens2を使用した講習では、『他店舗の研修生が、自店でウイッグを用意してブローを学ぶ』といったシーンを想定してデモンストレーションが行なわれた。
まず研修生がHoloLens2を装着。アウトカメラがあるため研修生の視線映像が、遠方にいる講師に配信される。その映像を観ながら講師が指示。たとえば下方向にブローをしてほしい場合、画面に矢印を描くことができ、HoloLens2上にも表示される。なおかつ音声もつながっているため、画像と言葉で具体的な指示を行なえるわけだ。
ここが今までのオンライン講習とは異なる点であり、HoloLens2の大きなメリット。当然、課題も残されているが、遠隔でもより理解度の高い講習が可能となるだろう。
同社は盛岡や福岡などにも直営店がある。そこで社内講習で活用しながらブラッシュアップしながら、今後は取引先のサロンにも同様に講習ができるような体制をレボルヘアアカデミーで構築し、今まで諸事情等で同社に来られなかった方にも“学べる場〟を提供していきたいという。
その後、来場者がHoloLens2を体感。実物の景色に画像を重ね合わせることによって複合現実(MR)技術により画面酔いも軽減され、またコツを掴めば比較的早く慣れることもできた。
Microsoft HoloLens2
https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens
③ヘアスタイルがリアルにシュミレーションできる『ミラーロイド』
最後に紹介された『ミラーロイド』。アンドロイドOSを搭載し、お客さまのアカウントでログインすれば専用の鏡のように使用できるスマートミラーとなる。
機能としては『ヘアカタログの表示』『ヘアシミュレーション機能』『動画再生』『モバイルアプリとの連携』などで、中でもヘアシミュレーションは大きな軸となる。鏡横に搭載されたカメラで、お客さまの顔を取り込んで分析。その画像に対して、髪の長さや色を調整ができるため、まるで『お客さまだけのヘアカタログ』のような使い方ができるそうだ。
また動画の表示は施術の邪魔にならないように鏡下部に配置しているが、導入美容室が自店で用意した動画を流すこともできる。一般的な動画再生の操作は当然のこと、メニュー表示から動画にリンクさせることも可能。お客さまに動画を観てもらいながら、メニューを説明するといった使い方もできる。
株式会社ミラーロイド(成田秀基代表取締役社長CEO)
https://www.mirrorroid.co.jp/
特許技術のIoTアプリケーションとアンドロイドOSを搭載したスマートミラーであり、鏡をディスプレイとしてタブレット操作ができる画期的なシステムとなっている。