タカラベルモント「ビューティーサイエンス&テクノロジーセミナーVol.2」をオンラインで開催

セミナーのようす

タカラベルモント株式会社(吉川秀隆会長兼社長)は1月26日、「ビューティーサイエンス&テクノロジーセミナーVol.2」~物質の浸透性を高めるヘアメデュラケアヘアカラーの可能性~をオンラインで開催した。

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キューティクル、コルテックス、メデュラの3層からなる毛髪。中心にあるメデュラは黒と白の2種類あることを発見した同社は、これまでそれらを自在にコントロールする「ヘアメデュラケア」技術を開発し発表してきた。ヘアメデュラケアは、非常に高い浸透力を持っている。特定の成分の組み合わせを持つ「ヘアメデュラケア溶液」(HMC溶液)に浸けて、蛍光色素を用いた実験からも、高い浸透力で毛髪に均一に浸透することがわかってきた(画像1)。

今回は、「メラミンを用いて白髪を自然な黒髪に戻す技術について」と、「ヘアメデュラケアのさらなる可能性について」の研究内容を、同社化粧品研究開発部第一研究所の平山貴寛氏が解説した。

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通常の黒髪はメラニンが存在することで、黒く色がついている。このメラニンが産生されなくなることで白色(実際は無色)に変化した白髪が、黒髪の中に存在すると目立つようになる。メラニンがなくなった白髪に対して染料で色をつけて黒髪のように見せたり色の差を小さくするのがグレイカラーの現状だが、これらの手法ではダメージが課題だった。同社では、メラニンを用いて、白髪をダメージレスで黒髪に戻すことに成功した。その検証方法は、10%の白髪が交じったウイッグにメラニン入りHMC溶液を塗布し、12時間放置後シャンプーを繰り返しというもの(画像2)。右のHMCでメラニンを定着させたものは白髪が目立たなくなったが、中央のメラニンだけのものは浸透せずシャンプーで洗い流されて、左の処理なしとの差が見受けられなかった。HMC溶液は弱酸性であり、髪にダメージを与えることなく安心してできる白髪ケアを実現した。

また、応用として塩基性カラーの前処理剤として使用することで、塩基性カラーの持つデメリット(退色が早い、頭皮まで染まってしまう、白髪への染着が極端に悪い)を解決した。メデュラにまで染料を浸透させることで、濃く鮮やかな色味を実現している。

新しい毛髪処理の可能性が示されたことで同社では、毛髪の強度や形状の変化などヘアメデュラケアをあらゆるケアに応用し可能性を拡げて、従来なかった毛髪処理を提供していきたいとしている。

平山 貴寛(ヒラヤマ タカヒロ)氏プロフィール
所属:化粧品研究開発部 第一研究所
略歴:2017年入社。第一研究所(ヘアケア開発チーム)に所属。
大学・大学院では神経科学を研究。初代培養神経細胞を用いて、細胞分画や免疫細胞染色、蛍光標識によるタンパク質の機能解析を行う。入社後は、ヘアケア製品やスキンケア製品の開発を担当。「ジオ」や「エステシモ」に加え、機器と共同で開発する製品の開発にも携わる。また基盤研究も複数担当し、Hair Medulla Careについての研究や、ヘッドスパをはじめとするサロンワークが生体に与える影響を科学的に解析する研究を行なう。